自由曲面シェルの形状最適化・形状評価

 曲面の境界をすべて支持したドーム状のシェルは高い剛性・耐力を持ちますが、フリーエッジを持つシェルはシェル効果が得られにくく、かたちの良し悪しが力学性能に大きく影響します。本研究テーマでは、力学性能の高いシェルのかたちをコンピュータによって生成する方法について研究しています。また、形状の良し悪しを評価する指標についての検討なども行っています。

曲げモーメント分布を目的関数として得られたシェルの最適形状


引張ブレースで補剛された格子シェルの座屈挙動

 全体座屈が問題となりそうな比較的扁平な単層ラチスシェルが建設される場合、下左図のような三角形の網目状に分割されることが多いです。下右図のような引張ブレース補剛された格子シェルは一見ありふれた構造形式ですが、建設事例はあまり有りません。鉛直分布荷重に対しブレースが圧縮抵抗できず役に立たないと考えるためです。しかし、このブレースには座屈変形を拘束する効果があり、この種のシェルはどうやら高い座屈耐力を有するようです。研究室では、引張ブレース補剛された格子シェルの座屈挙動の分析や、座屈耐力の予測法について研究を行っています。

 

三角形分割されたラチスシェル(左)と引張ブレース補剛された格子シェル(右)


隙間なし天井の面内圧縮耐力

 東日本大震災における天井面脱落を受け天井に関する技術基準が整備されつつあり、平成28 年には壁との間に隙間を設けない隙間なし天井の技術基準が設けられました。この基準では天井面の耐力を加力試験により求めることとなっています。研究室では実験によらずに隙間なし天井の圧縮耐力を算定する方法について検討を行っています。隙間なし天井は吊りボルトが天井面の座屈補剛材の役割をしますが、吊りボルトの耐力や剛性が小さい為に十分な補剛効果が得られず、天井面の座屈長さが変化します。吊りボルトの補剛効果の有無を算定する方法を実験と解析により検討を行っています。

 

天井の加力実験の様子


鉄骨造学校体育館の耐震診断法

準備中


シングルデッキ型浮屋根式石油タンクのスロッシング

  大規模な石油タンクでは、タンク液面に蓋の役割をする浮屋根が浮かべてあります。シングルデッキ型の浮屋根は浮き輪状のポンツーンと薄い鋼板のデッキ面でできています。大きな地震が発生すると、スロッシングの発生によって液面や浮屋根の大変形により、ポンツーンが過大な力を受けて損傷する恐れがあります。研究室では、ポテンシャル流体と弾性体の非線形相互作用を考慮したスロッシング解析コードを開発し、スロッシング解析を行っています。また、振動実験も同時に行っています。

シングルデッキ型浮屋根式液体貯槽模型の振動実験